テニス肘の正式名称は「上腕骨外側上顆炎」です。肘の外側から前腕に痛みが出て、物を持ち上げる、タオルを絞る、パソコンのマウスを使うといった日常動作がつらくなります。テニスをしていない方にも起こり、回復には負担の調整と段階的な運動が大切です。
テニス肘はなぜ起こる?
手首や指を伸ばす筋肉は、腱となって肘の外側に付着しています。物を握る、手首を反らす、前腕を繰り返しひねる動作が続くと、この付着部に負担が集中します。ラケット競技のほか、調理、工具作業、育児、パソコン作業などもきっかけになります。
安静時は痛くなくても、ペットボトルを持つ、ドアノブを回す、椅子を持ち上げるといった動作で痛むことがあります。
まずは痛みを増やす負担を調整
- 強く握り続ける作業や、手首を反らす反復動作を一時的に減らす
- 工具やラケットのグリップを太くし、握る力を軽くする
- 長時間の作業を分け、こまめに休憩する
- 荷物は手首だけで持たず、両手や身体全体を使う
- 必要に応じてテニス肘用バンドなどを検討する
すべての活動を完全にやめるのではなく、強い痛みが出ない範囲へ負荷を下げることがポイントです。
段階的に行うリハビリ
運動は症状や体力に合わせて行います。以下は一般的な例です。痛みが強い場合や診断がついていない場合は、医師や理学療法士の評価を受けてから始めてください。
1.肘と手首をゆっくり動かす
肘の曲げ伸ばし、手のひらを上・下へ向ける前腕の回旋、手首の曲げ伸ばしを、無理のない範囲でゆっくり行います。長く動かさないことで生じるこわばりを防ぎます。
2.前腕のストレッチ
肘を伸ばし、痛む側の手のひらを下へ向けます。反対の手で手首をゆっくり曲げ、前腕の外側が心地よく伸びる位置で保ちます。反動をつけたり、痛みを我慢して強く引いたりしないでください。
3.動かさずに力を入れる運動
痛む側の手首を中間の位置に置き、反対の手を手の甲に当てます。手首は動かさず、両手で軽く押し合います。低い力から始め、強い痛みが出ない範囲で数秒間保ちます。
4.軽い重りで手首を鍛える
前腕を机に置き、手のひらを下へ向け、手首から先を机の外に出します。ごく軽い重りや小さなペットボトルを持ち、手首を上げてからゆっくり下ろします。特に「ゆっくり下ろす」動きで、腱に段階的な負荷を与えます。
5.握る・ひねる動作へ進む
柔らかいボールを軽く握る、軽い棒を持って手のひらを上下へ返すなど、日常生活や競技で必要な動きを加えます。運動量や重さは少しずつ増やします。
軽い違和感が出ることはありますが、強い痛み、腫れ、翌日まで残る明らかな悪化がある場合は負荷を下げるか中止してください。適切な回数や重さは一人ひとり異なります。
仕事やテニスへの復帰
日常の物を痛みなく持てる、手首の筋力が戻る、練習後に痛みが強く残らないことを確認しながら復帰します。テニスでは短い時間の軽いストロークから始め、フォーム、ラケットの重さ、グリップサイズ、ガットの張りなども見直します。
急に以前と同じ練習量へ戻すと再び負担が集中します。時間・回数・強度のうち、一度に増やすのは一つにしましょう。
整形外科へ相談したい場合
休息とセルフケアを続けても改善しない、日常生活や睡眠に支障がある、肘が赤く腫れる、けがの後から痛む、手のしびれや力の入りにくさを伴う場合は診察をおすすめします。テニス肘以外の病気が隠れていないか確認し、必要に応じて薬、装具、注射療法、個別リハビリなどを検討します。
痛みの状態に合わせた個別リハビリ
テニス肘は、同じ診断でも仕事やスポーツ、痛む動作、回復の速さが異なります。サンテック病院整形外科では、医師の診察と理学療法士による評価をもとに、負荷の調整から筋力回復、再発予防まで個別にサポートします。
日本整形外科学会:テニス肘(上腕骨外側上顆炎)
AAOS OrthoInfo:Therapeutic Exercise Program for Epicondylitis
NHS:Tennis elbow
※本記事は一般的な医療情報であり、個別の診断・治療に代わるものではありません。
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